大阪大学大学院 人間科学研究科 共生学系

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共生学系 組織紹介

共生学系には 「未来共生学講座」と「グローバル共生学講座」の2つの講座があり、それぞれ3つの研究分野で成り立っています。

共生学系

 

 

未来共生学講座 Future Innovation Kyosei Studies

未来共生学講座では、現代社会のさまざまな人権・差別問題やその他の共生にかかわる諸問題に対して、過去の現実を踏まえたうえで、共通の未来に向けた斬新な共生モデルの構築をめざす。具体的には、人々の共生についての哲学的・歴史学的検討、宗教や学校や伝統文化が果たす役割、災害からの復興、共生のまちづくり、マイノリティの社会的参画や地位向上といった課題群に対して、比較の視点を踏まえつつ、主として日本社会を対象とした考察を行い、課題解決の方途を理論的・実践的に探究する。

共生の人間学 Philosophical Anthropology in Kyosei

共生という概念は実践とむすびつくが、それ自身、哲学的・教育学的・心理的・社会学的・人類学的な理論や、その背景にある人類史的・進化論的・未来学的な拡がりを含む。共生の理念には、身体論・ポストコロニアル・テクノロジー論・精神医学/脳科学などの知見を動員する必要があり、人と人との共生に加え、生物としての身体や環境、あるいは機械(ロボット、情報ネットワーク)やモノとの共生をもその条件となる。本研究分野は、実践への志向を忘却することなく、その理論装置を、人と人(パフォーマンス論・儀礼論・人間変容論・現代における精神と文化・生命倫理)・人間と自然(動物論や環境論・科学技術論)・人間と機械(ロボティックス・情報ネットワーク論)などを含みつつ追究する。

共生行動論 Socio-Behavioral Sciences in Kyosei

共生とは、具体的な言動によって達成されるダイナミックなプロセスである。そのあり方を探求するには、多様な言動が交差する現場に赴き、既存の学問分野にとらわれず、徹底して理論的に考察することを背景に、観察をおこない、現場の当事者とともに、実践を積み重ねていかなければならない。本研究分野では、アクション・リサーチ、計量分析、ディスコース分析など多様なスタイルで、多様な「現場」、たとえば災害現場、復興の現場、高齢化社会、多言語多文化地域形成などにおいて、共生の理念に裏打ちされた実践的研究を展開する。

共生社会論 Social Sciences in Kyosei

現代社会においては、グローバル化の進展のなかで、雇用形態・ライフスタイルが多様化・細分化し、共同体的な人のつながりが急速に弱体化しつつある。本研究分野では、個人や集団が自分や他者の有する多様な人的・社会的資産をポジティブに認知し合い、これを積極的に活用し、協働することで、社会的諸課題を発展的に解消し、真の共生社会を構築していくための理論・方法論を探究する。教育における排除と包摂、格差社会における教育、音楽を通じた共生のコミュニケーション、利他主義やソーシャルキャピタルとしての宗教がテーマとなる。社会学・教育学・地域研究などの既存のディシプリンをベースとしつつも、学際的・領域横断的に実践志向の教育・研究を推進し、多様性に基づいた豊かな社会のあり方を探る。

グローバル共生学講座 Global Innovation Kyosei Studies

グローバル共生学講座では、世界のさまざまな国と地域の「現場」における、対立と共生をめぐるローカルな実践に注目しつつ、グローバルな視点から共生のあり方を探究する。具体的には、開発援助、保健医療と教育、移民、ジェンダー、紛争、災害、コミュニティの再構築といった、人類が直面する問題について、ローカル・ナショナル・グローバルな要因のからまりあいを解明することによって、問題解決の方法を構想する共生学を構築する。

国際協力学 International Collaboration and Development Studies

人びとの健康や教育、貧困問題などは、グローバル社会共通の開発課題である。近年、大規模な自然災害や武力紛争が多発し、難民や避難民も増えている。そのため、国際機関、政府機関、NGO などが、開発協力や人道支援を実施してきた。国際協力学分野では、多文化共生社会の視点から、このような幅広い課題や対象を捉え、人びとの暮らしに寄り添いながら、教育学、国際保健医療学、人類学などに基づく学際的な研究を進めている。発展途上国など国外だけではなく、日本国内の外国人に対する教育や保健医療問題にも取り組んでいる。フィールドでの実践経験とアカデミックな理論を有機的に統合することにより、生活に直結した生き生きとした学問の場をつくりたい。研究能力を高め、科学の言葉で語り合う「知のワンダーランド」を志向する皆さんの参加を望んでいる。

地域創生論 Area Studies of Kyosei

地域創生論の目的は、地域社会を取り巻くグローバル化の潮流やさまざまな制度のもとで、健康、福祉、食、環境、災害などにかかわる知識や実践がどのような影響を受け、さらに人びとが地域固有の条件のもとで、それをどのように主体的に再編成していこうとしているのかについて研究することである。地域社会における、こうした知識や実践の再編成の多様なあり方を発見することによって、あらたな気づきが生みだされ、全体社会の変革につながっていくこともありうる。本研究分野では、こうした地域社会とより大きな社会を橋渡しする研究者や実践者(NPO・NGO や国際機関をふくむ公共機関)を積極的に育成したい。そのため、理論的方法論的な問題関心を深めるとともに、それを実証するためのフィールドワークを行うこと、そしてフィールドワークを効果的に行うための言語運用能力を身に付けることが推奨される。

コンフリクトと共生 Conflict and Coexistence Studies

私たちは、ヒトと環境のコンフリクト(気候変動、食中毒、感染症、鳥獣害など)とその先にある共生を、社会生態システムや民族誌などの多面的な視点から研究します。現在の人間社会は、環境との絶え間ない緊張関係のうえに成り立っています。近年、人間社会と環境の持続性にとって重要な学術的知見が蓄積してきたことにより、環境共生に対する人々の関心がますます高まっています。本分野では、人工物や科学技術と社会との間に生じるコンフリクトを問いつつ、循環型社会に向けた草の根の取り組みを対象とした現地調査にもとづいて、ヒトと環境との新たな共生関係を創出することを目指しています。環境共生を促進するための科学・社会経済・芸術的な要因はどのようなものか。環境破壊が懸念される中で市民社会と科学技術はどのように関わり合うのか。持続可能性を求める社会運動で環境破壊の趨勢を逆転できるのか。これらの問いを追究するため、環境科学、環境農学、医療人類学、科学技術社会論、および生態系サービス論の手法を用いて、国内外の共同研究者と交流しながら、多様で独創性のある環境共生学の若手研究者を育てています。

共生学系共通 Common for all branches of Kyosei Studies

 

※(兼任)は本研究科内兼任を示す。【兼任】は他部局教員等の本研究科兼任を示す。